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働きながら税理士試験の年間スケジュール|繁忙期で止まる月を先に組み込む

税理士試験

税理士試験の年間計画には、試験までの学習範囲だけでなく、仕事が忙しくなる時期も入れておきたいところです。会計事務所で働く場合、年末調整から確定申告にかけて、普段と同じ勉強時間を取るのは難しくなります。

TACのカリキュラムで4科目に合格するまで、私も繁忙期には学習が追いつかない状況を経験しました。仕事では予定外のことが起きる前提で、学習計画にゆとりを持たせる大切さを感じています。

8月の試験までの年間例をもとに、繁忙期の前に進めること、忙しい間に続けること、落ち着いてから取り戻すことを整理します。講座の日程と仕事の予定を重ね、自分が取り組める計画を考えるための記事です。

働きながらの受験は、繁忙期で学習が止まる前提で1年を組む

働きながら税理士試験を受けるなら、仕事の繁忙期に学習が進まなくなることは、予定外の出来事ではなく、1年の予定の一部として扱います。止まる時期を先に計画へ書き込んでおけば、遅れても慌てずに済み、取り戻す時期まで決めておけます。

会計事務所の繁忙期は、一般に12月から5月ごろとされます。12月から1月は年末調整と1月末が期限の書類、2月中旬から3月中旬は個人の確定申告、5月は3月決算の法人の申告で忙しくなります。どの時期が山になるかは、担当する顧問先が個人中心か法人中心かで変わります。経理の仕事なら、勤め先の決算や年末調整の時期が山になるでしょう。

どの職場でも共通するのは、繁忙期が毎年ほぼ同じ時期に来ることです。急な依頼のように、いつ入るか分からない仕事とは違います。時期が分かっているので、学習量が落ちる月を、計画を立てる段階で見込んでおけます。

ところが、予備校の講義は、受講生の仕事の都合に関係なく、8月の本試験に向けて進みます。自身の受験経験を振り返った税理士の中には、合否を分ける論点を学ぶ時期が、税理士事務所の繁忙期と重なると書いている人もいます。勉強との両立が、最もハードになる時期だそうです。学習の山場と仕事の山場が、同じ時期に来やすいのです。

この重なりを見込まずに、普段の週と同じペースで講義と復習を進める計画を立てると、繁忙期に入った時点で予定が崩れます。毎年同じ時期に崩れるなら、原因は意志の弱さより、計画のほうにあると考えたほうが、次の手を打てます。

止まる前提で組むといっても、繁忙期の勉強をあきらめるわけではありません。計画の段階で、次の3つを決めておくということです。

  • 繁忙期に入る前に、どこまで進めておくか
  • 繁忙期の間、限られた時間で何を続け、何を後回しにするか
  • 繁忙期が明けたら、後回しにした分をいつ取り戻すか

この3つが決まっていれば、繁忙期のあいだに講義が先へ進んでも、どこが遅れていて、いつ埋めるのかが分かります。遅れが予定の範囲に収まっているかを確かめながら進められるので、春になってから遅れの大きさに気づく、ということを避けやすくなります。

試験日から逆算して、1年の流れと繁忙期の重なりを見る

1年の計画は、8月の本試験から逆算して予備校の学習の区切りを並べ、そこに自分の職場の繁忙期を書き込むところから始めます。並べてみると、学習の山場と仕事の山場がどの月でぶつかるかが、自分の条件で見えてきます。

税理士試験は毎年8月上旬に3日間で行われ、受験の申込みは4月下旬から5月上旬に受け付けます。令和8年度は、試験が8月4日から6日、申込みの受付が4月20日から5月8日でした。申込みの期限も、カレンダーに入れておくと見落としを防げます。

予備校の年間カリキュラムは、この試験日に合わせて組まれています。たとえば、TACや大原の9月開講の初学者向けコースでは、9月から12月が基礎期、1月から4月が応用期、5月から試験までが直前期です。大原は、基礎期で本試験の出題項目の60〜80%をひととおり学ぶとしています。TACでは、5月から始まる答練で、4月までの学習内容から幅広く出題されます。応用期までに学んだことが身についているかを、直前期に確かめる流れです。

この区切りに、自分の繁忙期を重ねます。会計事務所で個人の顧問先を多く担当しているなら、年末調整から確定申告までの12月から3月が、基礎期の終わりから応用期の大半と重なります。法人の顧問先が多いなら、5月の申告が直前期の入り口とぶつかります。経理の仕事なら、勤め先の決算月と、その後の申告までの期間を書き込みます。

重ねるときは、年間のカレンダーを1枚用意し、予備校の講義と答練の日程を写したうえで、仕事が忙しくなる週に印を付けていくと分かりやすくなります。残業が続いた時期や休日に出勤した時期は、記憶に頼らず、去年の手帳や勤務の記録で確かめておくと、見込みがずれにくくなります。

カレンダーができると、3つのことが分かります。繁忙期に入る前に残っている講義の回数、繁忙期と重なる講義や確認テストの回数、そして繁忙期が明けてから直前期の答練が始まるまでの期間です。この3つが、繁忙期の前・最中・明けにそれぞれ何をするかを決める材料になります。

繁忙期の前に、進めておくことと決めておくこと

繁忙期に入る前にしておきたいのは、それまでに習った範囲を自力で解ける状態にしておくことと、繁忙期の間の勉強のやり方を先に決めておくことです。忙しくなってからでは、どちらにも手をつける時間が取れません。

基礎期の範囲を、解ける状態にしておく

進めておくことの中心は、基礎期の復習です。9月から12月に学ぶのは、本試験で落とせない基本の論点が中心です。繁忙期に入ると、新しい講義に付いていくだけで手一杯になり、前の範囲まで戻る余裕はなくなります。

年末年始の休みは、繁忙期の前にまとまった時間を取れる、数少ない機会です。問題集や確認テストを解き直し、解けなかった問題をテキストで確かめておくと、応用期の講義を基礎の上に積み上げられます。

余裕があれば、繁忙期に重なる講義の範囲を先に見ておく方法もあります。大原の講師は、受験経験者が年末年始にできることの一つとして、カリキュラムを見て、確定申告の時期に学ぶ予定の論点を前もって学習しておくことを挙げています。

繁忙期の間のやり方を、2つ決めておく

1つ目は、講義の受け方です。教室に通っている人は、繁忙期に平日夜のクラスに間に合わない日が出てきます。たとえば、TACでは欠席した講義をWebで視聴でき、専用アプリで動画をダウンロードして持ち歩くこともできます。どの講義を教室で受け、どれを動画に切り替えるかを、講義日程と照らして決めておくと、欠席がそのまま遅れになるのを防げます。

2つ目は、繁忙期の間に続ける勉強の量です。仕事がいちばん忙しい週でも続けられる時間と量を、普段の計画とは別に決めておきます。忙しくなってから考えると、その日の疲れ具合で決めることになり、勉強しない日が続きやすくなります。

繁忙期の最中は、残す学習を絞る

繁忙期の間に残すのは、止めると取り戻すのに時間がかかる学習です。理論の暗記と、計算の解き方を忘れないための確認がこれにあたります。総合問題を時間を計って解く演習のように、まとまった時間が必要な学習は、繁忙期が明けてからに回します。

理論は、少しでも止めない

理論を優先する理由は、計算と忘れ方が違うからです。計算は、しばらく離れていても、問題を解いているうちに手順を思い出すことがあります。理論は、思い出せなければ答案に書けません。理論の多い税法科目では、1週間離れるだけでかなり抜けていく、と書いている税理士もいます。

繁忙期は、理論を新しく覚えるより、すでに覚えた理論を忘れきらないようにする期間と考えます。理論を回す気力がない日は、目を通すだけでも構いません。なんとなく思い出せる状態を保っておけば、繁忙期が明けてから回し直したときに、覚え直す時間が短くて済みます。

計算は、解き方を覚えているかの確認に絞る

計算は、電卓をたたいて最後まで解くより、解き方を忘れていないかを確かめることを優先します。基本問題を見て、計算式まで書ければ十分です。式を書くところまでなら、1問にかかる時間は短くて済みます。

明けてからに回すもの

後回しにするのは、まとまった時間をとって机に向かわないとできない学習です。総合問題を本試験と同じ時間で解く演習や、新しく難しい論点の問題演習がこれにあたります。

講義は、可能な範囲で視聴を続けておくと、明けてからの復習の出発点がはっきりします。どの講義まで聴いたか、どの範囲の問題をまだ解いていないかは、手帳やテキストに印を付けて残しておきます。

繁忙期が明けたら、遅れをどこで取り戻すか

繁忙期の遅れは、繁忙期が明けてから、直前期の答練が始まるまでの期間で取り戻します。個人の確定申告が中心の仕事なら、3月中旬からゴールデンウィークまでの1カ月半ほどです。この期間に、後回しにした分のうち、基礎の範囲を優先して埋めます。

この時期を過ぎると、基礎を振り返るまとまった時間は取りにくくなります。5月からは答練が始まり、勉強の中心は問題演習に移ります。答練で間違えた論点なら、基礎に戻って確かめられます。ただ、基礎の範囲を全体から見直す時間は残りにくかった、と受験生時代を振り返る税理士もいます。法人の顧問先が多い人は、5月にもう一度忙しくなるので、4月のうちに進めておきたいところです。

明けてすぐは、繁忙期の疲れで勉強に気持ちが向かないこともあります。止まっていたペースをいきなり普段の量に戻そうとせず、最初の1週間ほどは軽い勉強から始めて、勉強する感覚を取り戻すことを優先します。

取り戻す順番は、繁忙期の間に付けておいた印を見て決めます。この時期の進め方として挙げられているのは、次の3つです。

  • 基礎期の講義動画を、再生速度を上げて見直す
  • 理論のテキストを読み直す
  • 基礎の問題集で、苦手な項目を解き直す

理論は、この期間に回し直しておくと、直前期に覚え直す負担を減らせます。ただ、すべての理論を完璧に覚えた状態に戻そうとすると、1カ月半では足りません。重要度の高い理論は一度は覚え、低いものも一度は書いてみた状態を、ゴールデンウィークまでに作っておくことを勧める税理士もいます。暗記した状態をすべて保つことまでは求めていません。

取り戻せる量には限りがあることも、最初から見込んでおきます。基礎の範囲を優先して埋め、残った分は答練で間違えた論点から基礎に戻って補う、と分けておくと、直前期に入ってからも遅れを抱え込まずに済みます。

予定外の仕事に備えて、ゆとりを入れた年間スケジュールの例

年間の予定には、繁忙期とは別に、何も予定を入れない予備の週を置いておきます。繁忙期は毎年来る時期が分かりますが、急な依頼のように、いつ入るか分からない仕事もあるからです。

私も受験を続けるなかで、「仕事においてイレギュラーは当たり前」という前提で、学習スケジュールにある程度ゆとりを持たせることが、挫折を防ぐために大切だと気づきました。

予備の週は、予備校の学習の区切りの手前に置くと使いやすくなります。区切りごとに、どこまで終えていたいかも決めておきます。予定は、学習量ではなく到達点で区切ると、遅れたときに何が足りないかを確かめやすくなります。「講義を受け終える」「基本問題を解き終える」「答練を始める」のような区切り方です。

次の表は、9月開講のコースで1科目を学び、個人の顧問先を多く担当している人を想定した例です。

時期予備校の区切り仕事到達点と予備の週
9〜11月基礎期普段どおり毎週の講義を受け、その範囲の問題集を解く
12月基礎期の終わり年末調整で忙しくなる基礎期の講義を受け終える。最終週は予備
年末年始講義は休み休み基礎期の問題集と確認テストを解き直す
1月〜3月中旬応用期確定申告までの繁忙期講義は動画で視聴を続ける。理論は止めず、計算は式まで確かめる
確定申告明け〜4月応用期の終わり落ち着く後回しにした基礎の解き直しと、理論の回し直し。最終週は予備
5〜7月直前期法人の顧問先があれば5月に山答練を受け、間違えた論点を基礎に戻って補う。6月に1週予備
8月上旬本試験――

予備の週に何も起きなければ、その週は遅れの穴埋めや、苦手な論点の解き直しに使えます。自分の予定を組むときは、表の「仕事」の列を、自分の職場の繁忙期に置き換えて考えます。

まとめ

働きながらの税理士試験では、繁忙期に学習が止まる月を最初から書き込んで、1年の予定を組みます。8月の試験から逆算した予備校の区切りに、自分の職場の繁忙期を重ねると、学習の山場とぶつかる月が見えてきます。そのうえで、繁忙期の前・最中・明けに何をするかを決めておきます。

予定を組むときに外したくないのは、この2つです。

  • 繁忙期の間は、理論と計算の解き方の確認を止めず、まとまった時間が要る演習は明けに回す
  • 繁忙期とは別に、いつ来るか分からない仕事に備えて、学習の区切りの手前に予備の週を置く

まずは、受講している講座の年間日程と、去年仕事が忙しかった週を、1枚のカレンダーに書き込んでみるとよいでしょう。繁忙期に重なる講義の回数と、明けてから答練までに使える期間が、そこから数えられます。

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