税理士試験の理論暗記アプリは、いま覚えている理論集を使えるかで選ぶと、普段の勉強につなげやすくなります。予備校の理論集を取り込む方法と、受講講座に付属する暗記ツールを使う方法があります。
私の受験勉強では、通勤中にTACの講義を聴くのが日常でした。仕事と両立して合格した4科目には、理論の暗記に苦労した法人税法と消費税法も含まれます。
その経験を踏まえ、移動中にも理論を覚える方法を調べました。暗記マーカー・Anki・スタディングの理論暗記ツールの使い方と、覚えた内容を自宅で答案に書いて確かめる練習を紹介します。
通勤では、講義の音声を聴いてから、スマホで隠しながら音読する
通勤で理論を覚えるときは、講義の音声を聴いてから、スマホで語句を隠しながら音読します。
聴くのは、講座の講義です。私は、受講していたTACの専用サイトから講義の音声をダウンロードし、通勤中はずっと聴いていました。今のTACの税理士講座では、専用アプリで講義の動画をダウンロードして持ち歩けます。理論集を開けない通勤でも、講義の音声は聴けます。
聴いただけでは、その語句を自分で言えるかは分かりません。聴き終えた範囲の理論をスマホで開き、覚える語句を隠したまま、文を頭から音読します。隠れた語句のところで言葉が出てきたら、そのまま先へ進みます。出てこなかった語句は、タップして確かめ、その文をもう一度音読します。
車内で声を出せないときは、心の中で音読します。まだ講義を聴いていない範囲は、隠しても言葉が出てきません。通勤で隠しながら音読するのは、聴き終えた範囲だけにします。
予備校の理論集を使っているなら、暗記マーカーかAnkiに入れて隠す
予備校の理論集を使ってスマホで覚えるなら、理論集をPDFで用意して、暗記マーカーかAnkiに取り込みます。ページのまま隠して読みたいなら暗記マーカー、理論を短く区切って、忘れかけたところを繰り返したいならAnkiが合います。
理論集のPDFを用意する
最初に、理論集をスマホで開ける形にします。TACの税理士講座では、理論集の理論マスターも、受講しているコース・科目の教材として、受講生サイトにPDFで掲載されています。PDFリーダーやノートアプリで開いて、書き込むこともできます。対象になる教材は科目とコースによって違うので、自分のコースで確かめておきます。
TACのPDFには、原則として会員番号と氏名が印字されます。人に配ったり転載したりしないよう、TACは求めています。アプリに取り込むのは、自分の勉強に使う範囲にとどめます。
ページのまま隠すなら、暗記マーカー
暗記マーカーは、PDFや画像の上に線を引いて、その部分を隠すアプリです。隠した部分をタップすると、文字が見えます。理論集のページがそのまま画面に出るので、紙の理論集と同じ順番、同じ位置で覚えられます。
線ごとに、言えたかどうかの記録が残ります。正答率によって線の色が変わるので、何度も言えない語句が色で分かります。PDFなら、語句を検索して、同じ語句にまとめて線を引けます。
iPhoneとiPadのアプリで、日本のApp Storeでは500円の買い切りです。機能を絞った無料のLite版もあります。最初に、理論ごとに隠す語句へ線を引いていく手間がかかります。
区切って繰り返すなら、Anki
Ankiは、表に問い、裏に答えを入れたカードを作り、めくりながら覚えるアプリです。覚えていないカードは早めに、覚えたカードは間をあけて出てくるので、どのカードをいつ見直すかをアプリに任せられます。
理論は、1つの理論を段落ごとに区切ったり、覚える語句を穴埋めにしたりしてカードにします。長い理論を一度に通して覚えるのがつらい人や、苦手な段落だけを繰り返したい人に向いています。
パソコン版は無料で、WindowsとMacで使えます。Androidの公式アプリAnkiDroidも無料です。iPhoneとiPadの公式アプリAnkiMobileは、日本のApp Storeで4,000円です。カードは自分で作るので、理論の数が増えるほど入力の手間がかかります。
どちらを選ぶか
理論集のページを見ながら覚えてきた人は、暗記マーカーなら紙の理論集と同じ見え方のまま、スマホで続けられます。カードを作る手間をかけてでも、繰り返す順番をアプリに任せたい人は、Ankiを選ぶとよいでしょう。暗記マーカーはiPhoneとiPadのアプリなので、Androidのスマホを使っているなら、Ankiが候補になります。
スタディングの受講生は、講座の中の理論暗記ツールを使う
スタディングの税理士講座を受講しているなら、理論集を取り込むアプリは要りません。講座の中にある理論暗記ツールを開けば、覚える語句が最初から隠された状態で、通勤中に隠しながら音読できます。
語句が最初から隠されている
理論暗記ツールは、スマホやタブレットで開く、理論のWEBテキストです。重要なキーワードや記述が赤枠で塗りつぶされていて、タップすると見え、もう一度タップすると隠れます。画面上部の「暗記ツール」をオフにすると、隠された部分がすべて開きます。
暗記マーカーやAnkiと違って、自分で線を引いたり、カードを作ったりする作業がありません。聴き終えた範囲を隠したまま音読し、言えなかった語句だけをタップして確かめる。このやり方が、取り込みの準備をしなくても、そのままできます。
理論暗記ツールの場所
スタディングのよくある質問では、開き方が2つ案内されています。
1つは、コースのページから開く方法です。マイページの講座トップで「コース」をタップし、受講している合格コースの「理論学習」から「理論暗記ツール&音声」を選びます。レッスン名の一覧から開きたいレッスンを選ぶと、動画画面の下に理論暗記ツールがあります。
もう1つは、基本講座のレッスンページから開く方法です。そのレッスンに関係する理論があれば、「ノート」欄に「理論暗記ツール&音声」へのリンクがあります。スマホでは、WEBテキストの下にノート欄があります。
読み上げの音声もある
理論暗記ツールの内容は、ナレーターが読み上げた音声でも聴けます。再生速度は、通常、1.5倍、2倍の3段階です。満員電車で画面を見られない日は音声で聴き、座れた日はツールで隠しながら音読する、というように、その日の車内に合わせて使い分けられます。
理論暗記ツールと音声は、受講前の無料お試しでも使えます。
答案に書けるかは、机で紙の理論集を使って確かめる
通勤で言えるようになった理論は、机に向かえる日に紙に書いて、答案に書けるかを確かめます。本試験の理論は、答案用紙に黒か青のインクのペンで書いて答えます。スマホで言えることと、答案に書けることは、同じではありません。
書くと、言えたつもりの誤りが見つかる
声に出して言うときは、語句の細かいところがあいまいでも、そのまま先へ進めます。書くと、抜けた語句や、うろ覚えの言い回しが紙の上に残ります。
特に気を付けたいのは、文の終わりです。TACの税法理論暗記セミナーの資料では、「納税義務がある」と書くべきところを「ない」と書く例を挙げています。結論が逆になるので、その解答は0点です。「〜しなければならない」と「〜できる」のような語尾の違いも、減点の対象です。こうした違いは、口で言っているだけでは気付きにくいところです。
本試験は時間が限られています。同じ資料では、理論を早く書くには、筆記の速さより暗記の精度が大切だとしています。迷わずに書ける理論が多いほど、答案を早く書き終えられます。
理論集を閉じて書き、理論集と照らす
机では、理論集を閉じて、ノートや裏紙に理論を思い出しながら書きます。書き終えたら、紙の理論集を開いて1行ずつ照らし合わせ、書けなかった語句と、間違えた語句に印を付けます。
印を付けたところを、次の通勤で覚え直します。暗記マーカーならその語句に線を引き、Ankiならその段落をカードにします。机で見つけた抜けを、移動中のスマホで埋める往復になります。
毎日すべての理論を書かなくても構いません。ある税理士は、受験生のころ、平日の5日で覚え、土日は書いて確かめるアウトプットに充てるペースだったと書いています。平日は通勤で言い、週末に机で書く、という分け方もできます。
スタディングの受講生は、理論記述練習を印刷する
スタディングの税理士講座には、理論記述練習というPDFの教材があります。印刷して解答欄に書き、しっかり書けなかった項目は、理論暗記ツールに戻って覚え直します。
繁忙期は、新しい理論を増やさず、覚えた理論を通勤で繰り返す
繁忙期の通勤では、繰り返し覚え直す理論を、繁忙期に入るまでに覚えた分に絞ります。講義で新しい理論が出てきても、その時期は通勤で覚え直す理論に加えず、明けてから覚えます。机に向かえない時期でも、通勤で何を覚え直すかが決まっていれば、毎日の往復で理論に触れ続けられます。
通勤で覚え直す理論を、繁忙期の前に選んでおく
繁忙期に入る前に、通勤で覚え直す理論を選んでおきます。暗記マーカーならフォルダ、Ankiならデッキを分けて、繁忙期に使う理論だけを集めておくと、電車でアプリを開いたときに迷わずに済みます。
新しい理論を加えないのは、勉強の時間が減る時期に覚える理論の数を増やすと、1つの理論をもう一度覚え直すまでの間隔が長くなるからです。講義で出てきた新しい理論は、講義を聴くところまでにして、どこまで聴いたかに印を付けておきます。
疲れた日は、音声を聴くだけにする
残業が続くと、電車で画面を見て音読する気力が残らない日もあります。そういう日は、隠しながら音読するのをやめて、理論を読み上げた音声を聴くだけにします。スタディングの受講生は、理論暗記ツールの読み上げ音声が使えます。
予備校の理論集を使っている人は、休日に、覚え直したい理論を自分で読み上げて録音しておく方法があります。繁忙期に、週末の空いた時間に理論集を読み上げて録音し、通勤中に繰り返し聴いていた受験生もいます。聴き続けるうちに、まだ覚えきっていない理論でも、必要な語句が頭に残るようになったそうです。TACの税法理論暗記セミナーの資料でも、覚え方の1つに、録音した自分の声を聞く方法を挙げています。
書いて確かめるのは、時間が取れた週末だけでよい
机で紙に書いて確かめる練習は、繁忙期のあいだは、時間が取れた週末だけで構いません。通勤で言える状態を保っておけば、繁忙期が明けて机に向かえるようになったとき、書く練習をそこから始め直せます。
まとめ
理論集を開けない通勤では、講義の音声を聴いてから、聴いた範囲をスマホで隠しながら音読します。使うアプリは、いま使っている理論集で決まります。
- 予備校の理論集を使っているなら、PDFを暗記マーカーかAnkiに取り込みます。ページのまま隠すなら暗記マーカー、短く区切って繰り返すならAnkiです。
- スタディングの受講生は、講座の中の理論暗記ツールと読み上げ音声を使えば、取り込む手間がかかりません。
- 通勤で言えるようになった理論は、机で紙に書いて確かめます。書けなかったところを、次の通勤で覚え直します。
まずは、受講している講座の受講生サイトで、理論集をスマホで開ける形が用意されているかを確かめるところから始めるとよいでしょう。

